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2009年4月27日 (月)

氷の伯爵と桜色の風 ♯4

☆もくじへ☆

「ほらみんな! もう起きて学校に行く時間よ!」
手に持ったフライパンを振り回しながらアンナは各部屋に声をかけてまわる。
「そんなに騒がなくても聞こえてるよぉ……」
「う、うるさーいっ!」
「なんだ、火事でも起きたような勢いだな」
4歳から16歳までの子供達が、不満をもらしながらゾロゾロと食堂に向かう。
最年長のアンナは、ここにいる子供達の世話係を任されている。
「アンナ。院長先生が話したい事があるからって、呼んでらしたわ。」
慌しく朝食の支度をしていたアンナは、シスターにそう声をかけられた。
「院長先生が? そう、わかりました」
どうしたのだろう?と思いながらも、一通りの準備を終わらせ院長室へと向かった。「失礼します」
声をかけて中に入ると、いつも優しい笑顔の院長先生が、少し困ったような顔をしてソファに座っている。
座るように促されて、戸惑いながらも腰を下ろし用件を聞こうと待つが、院長先生は黙ったままだ。
「あの……院長先生?」
「アンナ、急に呼び出してしまってごめんなさいね」
アンナの不思議そうな視線に気がつき、少し慌てた様子で口を開く。
「実はね、あなたのご両親が見つかったの。」
「……え? それって、どういうことですか?」
アンナは自分に告げられた事が、理解出来ずにいた。
それもそのはずで、彼女は物心ついた時から、ここハーヴェイ孤児院で、両親はおろか身内も誰もいない天涯孤独の身として育ったのだ。
「先日、あるご夫妻から手紙が届きました。そこには、14年前に誘拐されて行方知れずになってしまった娘がいる。と……」
「待って下さいっ!」
院長先生の言葉を、途中で遮るアンナ。
「それだけで、私が娘かどうかなんてわからないじゃない!」
急に告げられた事実に、混乱して、取り乱している。
「アンナ。手紙には当時の状況や、捜査資料も添えられていました。私達はなんの根拠もなく、あなたを手放そうとしているわけではないのよ?」
優しくなだめられるように言われると、今までハーヴェイで過ごした日々が思い出される。
 シスターや院長先生は、院の子供達を、本当の家族のように温かく接してくれていた。
窓の外からは、ジュニアスクールの子供達が学校へと向かう声が聞こえてきた。
「ごめんなさい……突然の事で、私……」
そんなアンナの様子に、微笑みで答えてくれる院長先生。
「いいのよ。突然の事で驚くのも無理は無いわ。あなたのご両親、カンター男爵夫妻も、あなたに時間をあげてほしいとおっしゃって下さっているから、少し考えてみるといいわね」
カンターダンシャクフサイ――男爵夫妻!!
「だ、男爵夫妻って?! 私の父さまと母さまが、男爵夫妻だって事なの?!」
アンナは、次から次へと明かされる事実に、軽く眩暈をおぼえた。  続く

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