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2009年7月 4日 (土)

氷の伯爵と桜色の風 ♯18

☆もくじへ☆

 アンナは、パーシヴァル家に来て以来、初めて自分の持ってきた荷物を手に取った。
ここに来てから、色々な事がありすぎてしまいこんだままになっていたのだ。
 
 孤児院の事、思い出す暇も無いくらいバタバタしてたな……
 
年期の入ったそのカバンの中から、あの白いハンカチを取り出した。
 
 あの子が、誰だったとしても私の気持ちは変わらない。

自分の気持ちを確信したアンナが、そのハンカチを手に向かった先は、カークランド邸。
すぐにでもルークに会って、話しをしなければいけないと思ったのだ。

 私、やっぱりカークベリー伯爵が好き! 
 こんな気持ちのままルークと婚約なんかしたら、一生後悔するわ。

アンナは、カークランド邸に向かう馬車の中で、強くそう思った。
 邸に到着すると、まず一度、深呼吸をしてから思い切って呼び鈴を押すと、すぐに中から執事らしき男性が現れたので、ルークに取り次いでもらうようにお願いする。
「かしこまりました。すぐにお呼び致しますので、応接室でお待ちください」
執事はそう言うと、アンナを応接室まで案内してくれた。
進められるがまま、ソファーに腰掛けるアンナだったが、パーシヴァル家以上に豪華な応接室は、なんだか落ち着かない気分になる。
 メイドが飲み物を持って応接室に入ってくるのと、ほぼ同時にルークが現れた。
「やあ、アンナ。いらっしゃい、今日もいい天気だね。あ、どうぞ」
ルークは、アンナが突然訪れた理由を聞くわけでもなく、メイドが運んできた紅茶をアンナに勧めた。
当然、理由を聞かれるだろうと思っていたアンナは、拍子抜けしてしまった。
 
 絶対「どうしたの?」って聞かれると思ってたのに。
 なんて、切り出そうかな……
 まずは、あの事を念のため確認しないとね。

アンナは、バックの中から、あのハンカチを取り出して、目の前のテーブルの上に置いた。
「ん? それは? 僕へのプレゼント……という訳では無さそうですね?」
ハンカチを見ても、本当に見覚えの無さそうなルークに、アンナの考えは確信へと変わっていた。
「これに、見覚えはない?」
アンナの言葉に、ルークは静かに首を横に振り、ハンカチを手に取った。
「イニチャルが刺繍されてますね。『J.K』……ジェレミー・カークランド。もしかして、これって兄さんのですか? にしても、かなり古そうですが……」
そこまで言うと、ルークはふいに何かを思い出したようだった。
「ああ、なるほど。そう言うことですか」
「え? そう言うことって?」
何が「そう言うこと」なのか、ルーク本人は納得した様子だったが、アンナは、ルークの言葉の意味を図りかねていた。
「それについては、アンナの話しの続きを聞いてからお話ししますよ。今日は、他にも何か僕に話したい事があって来たんでしょ?」
普段は、受ける印象が違いすぎて、あまり似ていない兄弟だと思われているが、ちょっと楽しそうに瞳を輝かせているルークは、ジェリーと間違いなく兄弟なんだと思わせる雰囲気だった。
「まあ、そうなんだけど……その……」
「その?」

 なんて言えば、一番失礼じゃないんだろう……
 あー!もう。私らしくもない!

「私、ルークとは婚約出来ないの! ごめんなさいっ!」
椅子から立ち上がり、深々と頭を下げるアンナのストレート過ぎる行動にはさすがのルークも驚いて、持っていたティカップを危うく落としそうになっている。
「あ、あの……ルークの事が嫌だとか、そういう事じゃなくて、なんて言うか……」
アンナは、自分で考えていた以上にストレートに言ってしまった事を後悔して、慌てて説明をしようとした。
「好きな人がいる。ですね?」
アンナが、言わんとしている事は、ルークにはとっくにお見通しのようだった。
「え?! どうして、それを?」
「やっぱり。アンナは羨ましいくらい真っ直ぐですね。僕も、少し見習わなくちゃいけませんね」
ルークはそう言って一度言葉を切ると「約束どおり、僕がそのハンカチを見て思い出したことをお話しします」と言って、ルークが教えてくれたのは、ルーク9歳、ジェリーが10歳の頃の話しだった。
 二人の母親の葬儀の日、ジェリーが途中でいなくなって、ちょっとした騒ぎになり、しばらくして戻ってきたジェリーの手には、女の子用のハンカチが大事そうに握られていた。というエピソードだった。
 そして、ルークは最後に「今もそのハンカチは、どこかに大切に保管されていると思いますよ?」と付け足した。 続く…                   

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コメント

> 狼皮のスイーツマン様
相変わらず鋭いコメントありがとうございますw
でも、しぃぃ!ですよ><
題名とストーリーの矛盾については柊もすっごく感じております^^;
題名を付けた時にはそんなイメージだったのですがw

投稿: 柊かえで | 2009年9月13日 (日) 22時00分

ルーク様へ

題名が『氷の伯爵と桜色の風』なのに
『草書系貴公子のさわやかな風』になりつつあります。それにしてもアンナの過去──気になります……。

投稿: 狼皮のスイーツマン | 2009年9月13日 (日) 05時09分

>長嶺えり子様
アンナなりに色々と考えたみたいですが、結果、ひねりもなにもない超ストレート球を投げてしまったという

>いつも読むのが本当に楽しいです。
次回も期待してますよ~~!!
いつも読んで頂いてありがとうございます
ご期待に添えるように頑張ります|∀・)

投稿: 柊かえで | 2009年7月 5日 (日) 23時52分

アンナ偉い!!
良くストレートに自分の気持ちを言ったものだ。
安心しました。
わくわく。
いつも読むのが本当に楽しいです。
次回も期待してますよ~~!!
(v^ー゜)ヤッタネ!!

投稿: 長峯えり子 | 2009年7月 5日 (日) 23時23分

>いき♂様
ルークが、一番冷静に事の成り行きを見守っていますね^^

投稿: 柊かえで | 2009年7月 4日 (土) 23時34分

>雪様

>ちょっと毒があるルークが好きですよぉ!!
おかしいな~当初の予定では、人畜無害の草食系男子だったはずなのに!w

投稿: 柊かえで | 2009年7月 4日 (土) 23時31分

さすがルーク!
最初から気づいてたっぽいですけどね(^^)

投稿: いき♂ | 2009年7月 4日 (土) 13時18分

ルーク格好良いw
ちょっと毒があるルークが好きですよぉ!!

投稿: 雪 | 2009年7月 4日 (土) 12時33分

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